莫告藻の花

莫告藻の花
莫告藻の花
莫告藻の花 前部分
莫告藻の花 前部分
ホンダワラ
ホンダワラ photo by 三重大学大学院 藻類学研究室
ホンダワラ
ホンダワラ photo by 三重大学大学院 藻類学研究室

万葉表記:名告藻、莫告、勿謂藻、莫告藻、名乗藻、名乗層、名乗曾

梓弓 引津の辺なる 莫告藻の花 採むまでに 逢はざらめやも 莫告藻の花
柿本人麻呂歌集(巻7-1279)


梓弓を引く、引津のほとりの莫告藻の花よ。花を摘むまでは逢わないというということがあろうか。莫告藻の花よ。

なのりそは万葉植物に関する多くの書籍でこんにちにおける海藻「ホンダワラ」のこととされますが、それに限定することなく、近縁でこのところ健康食品として注目されている同じホンダワラ科の「アカモク」など、もっと広くホンダワラ類を含めて指すもの考えた方がよいと思います。
古語において「な告りそ」というと「人に言うな」の意となり、「名告りそ」とすると「名告ってはならない」の意味にもなります。
万葉の時代は相手の名前を問うことは求婚の意味があり、名前を教えることは求婚を受け入れることでした。「なのりそ」が詠まれた歌には、そういった男女の求婚の駆け引きが隠されているようです。ちなみに、ホンダワラ類は花が咲くことはありません。咲くはずのない「なのりその花」を摘むまでは逢わないことはないといっているので、いつまでも逢えることになります。
帯では、赤株は男を、花(想像上の花)が咲いている緑の株を女の人として表現しています。太鼓中心部で枝の穂先を傾け「お名前は?」とやりとりしているイメージを演出しました。

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