竹
万葉表記:竹、多気、太気
わが屋戸(やど)の いささ群竹(むらたけ)吹く風の 音のかそけきこの夕(ゆうべ)かも
大伴家持 (巻19-4291)
わが家の小さな竹藪の笹の葉を静かに揺らして吹く風の、その微かな音が響く夕暮れであることよ
竹を静かに吹き渡る風の音に、家持の心の静寂を表現した歌です。
竹は草でも木でもない「有節植物」と区別されるそうです。数十年に一度しか花を咲かせず、しかも一度開花すると竹林全体が枯れてしまうという不思議な植物です。鳳凰は桐の木に棲み、竹の実を食べるといいますが、果たしてどのような実なのか・・・未だ見たことがありません。
竹は幹が真直で堅く、中は空虚で隠すことなく、節があって自制し、葉も直にして常に緑で、堅く根を張って群生することから君子といわれ武士に好まれました。日本では「松竹梅」といえば「目出度い」ことの象徴と考えられていますが、中国では「歳寒の三友」といい、「清廉潔白・節操」という文人の理想を表現したものとされます。
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