さねかずら
万葉表記:狭根葛、核葛
さね葛 のちも会ふやと 夢(いめ)のみに 祈誓(うけ)ひわたりて 年は経につつ
柿本人麻呂歌集 (巻11-2479)
さねかづらの蔓が長くのびて絡みついているように、いつかまた必ず逢おうと夢で祈っているうちに、こんなに月日がたってしまった
切ない恋の歌です。
さねかづらは常緑のつる性植物で、夏に淡黄白色の可愛らしい花をつけます。秋には実が真っ赤に色づき、その可愛らしく美しい様に目を奪われます。切った枝を水にひたしておくと粘りけのある汁がとれ、それを整髪剤にしたことから「美男葛(ビナンカズラ)」とも呼ばれます。
蔓を伸ばしては、またもとの蔓茎に先の方で結びあうことから、万葉人はこの蔓に、恋人とまた後で逢うことができるようにと念じました。
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