さきくさ(ミツマタ)
万葉表記:三枝
春されば まず三枝の 幸くあれば 後にも逢はむ な恋ひそ吾妹
作者不詳 (巻10-1895)
春になるとまず咲くさきくさの、その名前のように、幸く(さきく)無事であったなら、またいつか会えるでしょう。いとしい人よ、あまり恋心に心を苦しめないでください
さきくさには「ミツマタ」のほか「ヤマユリ」「ヤマゴボウ」「ジンチョウゲ」をあてるなど諸説ありますが、春にまず咲く花、三枝の字から「ミツマタ」が最もふさわしいとされています。ミツマタは必ず枝が三つに分かれます。
昔から良質の和紙の原料とされ、特に紙幣に用いられることで有名ですが、知名度のわりに実際の姿を知る人は少ないように思います。枝の先端に、まるでくす玉のような可愛らしい黄色い花をつけた姿は、他の植物とはひと味違った春らしい雰囲気を醸し出しています。
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