天の火
君が行く道の長手を繰り畳ね焼き滅ぼさむ天の火もがも
狭野弟上娘子(巻15-3724)
あなたの行く長い道のりをたぐり寄せて畳んで、焼き滅ぼしてしまうような天の火があればいいのに
夫の中臣宅守が越前 (今の福井県) に配流されることになった時に宅守に贈った歌です。
万葉集では 巻15の中に二人がそれぞれ悲しい気持ちを述べて贈答した63首の歌が収められています。
この歌は宅守が行く長い道を畳んで焼き尽くしてしまう天からの火がほしいという思いを詠んだもので、直情的かつ激情的な心の表現が胸に迫ってくるようです。
激しい思いが鎮められるよう道端に野菊を添えました。
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