月下美人




夏の夜、夕暮れとともに咲き始め、わずか一夜でその生涯を終える花。
妖しく、艶やかで、そして優雅――謎めいた麗人のようなその白い花姿は、まるで月の化身のようでもあります。
では、月下美人はなぜ太陽の下ではなく、夜に咲くのでしょう。
その理由は、この植物の「送粉者」にあります。
多くの植物は蝶や蜂、鳥などに花粉を運んでもらい受粉しますが、月下美人が自生する高温多湿で薄暗いジャングルでは、その役割を担うのはなんとコウモリです。
夜の空を舞うコウモリに授粉を託す植物は意外にも多く、美しい月下美人の花が彼らを引き寄せる存在であるというのは、少し驚きかもしれません。
その神秘的な月下美人のイメージを表現するため、ほんのりとした暈かし染めで花が浮かび上がるように仕上げました。
手先や前柄にはコウモリの意匠も添え、とりよろふらしい世界観を詰め込んだ夏帯となっています。



コメント