月・星
天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
柿本人麻呂歌集(巻7-1068)
夜空に広がる天の海に雲の波が立ち、月の舟が星々の林に漕ぎ隠れていくのが見えるよ
私たちはハッブル宇宙望遠鏡など、最新の観測技術によって未知の宇宙の姿を見ることができるようになりました。しかし、その反面、街中では満点の星空を見ることが難しくなり、星座をたどることもできなくなってしまったことを少し寂しく感じます。
天文学の知識を持ち合わせていなかった時代、万葉びとは夜空に輝く月や星をどのように見て、何を感じていたのでしょうか? この歌には豊かな想像力が感じられます。
「星の林」とは星がたくさん集まっているところですから「天の川(銀河)」を指すものと想像しました。鮮やかに輝くオリオン星雲やわし星雲などのイメージでその天の川を表現しました。また、古くバビロニアで起こり、のちにギリシャで神話と結びついたお馴染みの88星座を配して夜の宙を彩りました。万葉人もおそらく見たであろう星々です。
コンセプト帯「水の星-terra」は「月の船」に合わせてつくった帯です。
私たちの星、地球。
那由多に広がる宇宙の片隅に浮かぶ、小さな小さな蒼い惑星。
水をたたえた奇跡の星です。
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