「とりよろふ」について

プロフィール

加藤寛司
加藤寛司

とりよろふ代表 加藤 寛司(かとう かんじ)略歴

1961年 茨城県生まれ
1985年 筑波大学芸術専門学群絵画コース卒業
1986年 一竹工房に入社
2008年 独立し、きものアトリエ とりよろふ を開く
2010年 万葉の花ごろも展開催(奈良県立万葉文化館)


師である染色家・久保田一竹の工房で染色にたずさわり、複雑な技法や自由な表現手法を学ぶ。色を複雑に重ね暈かすことにより手描友禅に独特の世界を表現する新たなスタイルを確立。万葉の世界に興味を抱き、そこに詠まれている植物をテーマにした「万葉の花ごろもシリーズ」の制作を始める。現在は、とりよろふならではの光彩を放つ染小紋「珠衣シリーズ」や「生命の樹」、「宮沢賢治の世界」など、様々なコンセプトによるシリーズ作品群の制作にも取り組んでいる。
共に制作している加藤優佳(かとう ゆうか)は実生活でのパートナーでもあるが、同じく豊富な染色キャリアと独自の技法、感覚をもち、とりよろふのテイストを担う重要な存在となっている。

作品、イベントに関するお問い合せは こちら からどうぞ。

きものアトリエ とりよろふ
加藤 寛司
〒185-0001
東京都国分寺市北町5-7-3
Tel:080-5081-8079

とりよろふ
という言葉

‘ とりよろふ ’
それは万葉集に出てくる、たいへん古い日本の言葉です。

大和には 群山あれど とりよろふ 天の香久山 登り立ち
国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ
うまし国ぞ 秋津島 大和の国は
舒明天皇 国見の歌(巻1-2)

(大和にはたくさんの山があるが、とりわけ立派にととのっている天の香具山に登って国を見渡せば、国原からはあちらこちらから煙が立ち上がり、海原からは鴎が飛び立っている。本当に良い国だ、秋津島の大和の国は)

ととのいそなわる、とりわけてよい・・・・・そんな意味があると言われていますが、日本の文献にはほかに使われる例がないため、まだよく解っていない言葉です。

古い言葉でありながら、何処となく新しい響きが感じられ、謎めいているが故に、未知なる広大な万葉の世界を思い描かせます。この素敵な言葉をアトリエの名前にもらいました。

‘とりよろふ’のこだわり

竹取

意匠-デザインのコンセプト

日本のきもの(小袖)の歴史の中で、育まれ、受け継がれ、愛されてきた文様を「古典文様」と呼びます。今もなお使い続けられる由緒ある文様ですが、それが生まれた当時は「古典」ではなく、まさに最先端のモードでした。描かれた図柄には様々な意味合いが隠されており、単にデザインがよいというだけではなく、楽しさ、おもしろさも人々に提供しました。では、現代において作家はどう文様と向き合うべきなのしょうか。とりよろふは文様というものの意味を踏まえつつ、時代にふさわしい意匠を模索しています。そして、きものを愛するみなさんに‘ものがたり’を纏うような「着る楽しさ」を提案していきます。

技-染めの特徴

「ものがたり」の世界を表現するために重要となるのは‘染め’です。とりよろふの染めは長年にわたる試行錯誤の末に生まれた独自の染色技法です。
柔らかな暈かし
色を重ねてつくる奥行きの深さ
一般的な友禅の染色では不可能な染めも、こだわりをもって自ら染めるからこそ可能となります。それはそのときそのとき対峙する作品の染色過程で判断し、生まれるものです。同じ染めはなかなか再現できないため唯一無二の作品となります。