保与(ヤドリギ)
万葉表記:保与
あしひきの 山の木末(ぬれ)の ほよ取りて かざしつらくは 千年寿くとぞ
大伴家持(巻18-4136)
山の木の梢に生えているほよを取って、髪飾りにして挿したのは、千年の長寿を祈ってのことです
ヤドリギは、エノキ、クリ、サクラ、ケヤキ、ブナなど落葉広葉樹の枝の上に半寄生する常緑小低木です。古来、常盤木として祝賀の席に飾られました。万葉名を‘ほよ’といいます。
冬になり、すっかり葉っぱを落とした宿主の木の枝に青々と茂る姿を見て、人は生命力や神秘的な力を感じ、その力を少しでも身につけたいと願いほよを髪飾りにしました。
北欧やケルトの神話でも神聖なものとされていて、新年のリースに使われたりします。玄関のドアの上に飾り、新年を迎えたときにそのヤドリギの下に立ってキスをするとその一年が幸せになる・・・というおまじないみたいなものも聞かされます。
冬になる頃、黄色や赤い実をたくさんつけます。レンジャクがその実を好んで食べるためレンジャクファンにはおなじみの植物のようです。高い木に寄生するため観察には双眼鏡が必需品です。
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