生命の樹
「生命の樹」は神話として、あるいは宗教的なシンボルとして、古い時代から人々に語り継がれてきた伝説の樹です。
創世記の「エデンの園」、カバラのセフィロト、北欧神話に登場するイグドラシル、ギリシャ神話の「歓喜の園」、ペルシャの聖なる樹、インドの「如意樹(カルパヴリクシャ)」、古代中国の「扶桑の樹」など、世界各地に神秘的な力を持つ樹が現れています。
映画「アバター」をご覧になったでしょうか。劇中でナヴィが住む森のシンボリックな巨木「ホーム・ツリー」が登場しますが、イメージとしてはこれに近いのかもしれません。
人類のみならず、あらゆる生物にとって植物が不可欠な存在であるということは、我々現代人よりも、はるか昔に生きた人間の方が本能的に感じ取れたのではないかと思います。樹木は母性的な生命力、豊穣力をもって大いなる恵みを与えてくれます。
止まることのない森林破壊。そして急速に広がる陸の砂漠化。森を守り、植物と共に生活することは、取りも直さず人間の「生命」を守ることであることを我々は常に忘れてはならない。今はもうその崖っぷちまで来ているように思います。
「生命の樹」とは、この世の生命を産みだす樹木であり、豊穣力の象徴として、花花を満開させ、たわわに実をみのらせる樹木なのです。
人は生まれ、そして死んでゆきます。しかし、「生命の樹」は朽ちることなく永遠に立ち続ける不変の存在です。
日本ではあまり馴染みのない「生命の樹」をいう言葉ですが、それぞれの胸に、それぞれの花を咲かせた大きな樹を思い浮かべながら、こころの「生命の樹」を育ててみてはどうだろうか。
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