しくしくに
春日野に朝ゐる雲のしくしくに吾は恋ひまさる月に日に異に
大伴像見(かたみ) (4-698)
春日野に朝々たなびく雲のごとく、しきりに私の恋はつのる。月に日にいっそう
しくしく(重く重く)という言葉には、幾重にも重なる雲の重たさに自分の恋心が重ねられています。
現代であれば雲や霧、霞といった気象現象は大気中の水蒸気が目に見えて現れたものと誰もが理解していますが、万葉の時代では自分の心や息が現れたものと感じでいたようです。そのようなこともふまえて万葉集を読んでみると、またひとつ理解が深まります。
募る恋心を色によって表現しました。
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