あかね

あかねさす
あかねさす
あかねさす 前部分
あかねさす 前部分
アカネ

万葉表記:茜、茜草、赤根、安可根

あかねさす 日の暮れぬれば すべを無(な)み 千遍(ちたび)嘆きて 恋ひつつそう居(を)
作者不詳(巻12-2901)


あなたに逢えないまま、あかね色をおびる日が暮れてしまったので、仕方なく幾度も嘆いては恋い慕っているのです

あかねは多年草のつる植物で、ハート形の4枚ずつ輪生する葉っぱ(実はそのうち2枚は托葉が葉っぱそっくりに変化したもの)が特徴的です。初秋、淡黄色の小さな花を咲かせます。根を乾燥させると赤くなるため“あかね”と呼ばれました。根は緋色の染料となり、その色は今でも“あかね色”として使われています。
いつも身近にあって庶民には馴染み深い植物だったにもかかわらず、万葉集では植物としての“あかね”を詠んだ歌はなく、すべて「あかねさす」など、日、昼、照、紫、月、君などの枕詞として用いられています。
「ぬばたま(ヒオウギの種)」が暗さの象徴とされるのに対し、「あかね」は反対の明るさを強調する手段にもちいられます。
帯では、渦巻く恋心に希望の光が差し込むイメージで、くっきりあかねが浮き立つようにきれいな紫の地色を背景としました。

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