いわはし

明日香川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも
作者不詳(巻11-2701)

明日香川の名前のように、明日も渡って逢いにいこう。その飛石のように、離れ離れの遠く隔たった気持ちなど、ちらっとも抱いたことはないのです。

石橋は「いわはし」と読みます。自然に、あるいは人工的に川に石を配置して、橋として使いました。

日本は水の豊かな国、たくさんの川が流れています。しかしながら、万葉の時代は土木技術も発達していなかったため、川の上を通す橋を造るのは大変なことだったはずです。大きな川を渡るには舟が必要だったでしょう。交通網が発達した現代では、川のことなど意識せずに日常生活を送っていますが、徒歩で移動する万葉人にとって川を渡ることは大変なことだったと推測できます。

川の向こうに愛する人が住んでいたならどうでしょう?水かさが少なければ少々濡れても渡るのは容易でしょうが、雨が降って水量が増えたら、離れた石橋を渡らなければならないですし、もし石が流されてしまっていたら会うことは叶わないのです。万葉人にとって「石橋を渡る」という言葉には特別な想いがあるようです。

帯では、中央に白い線で輪郭を取りリズムのある川を描きました。下方の岸には男の人をイメージした「葵」を配し、上方には女の人をイメージした「ススキ」を配しました。石橋には墨の細い線で描画しています。川の所々に飛んでいる丸文は、水しぶき、急流を表すものです。

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