はちす

万葉表記:蓮

ひさかたの 雨も降らめか はちす葉に たまれる水の 玉に似たる見む
作者不詳(巻16-3837)

ひさかたの雨でも降ってくれないかなあ。そうしたら、ハスの葉にたまった水の真珠の玉のように美しいのを見ようものを

自分も小さい頃、ハスの葉の上の水玉を手でゆらゆらと動かしながら、キラキラ輝く宝石のような光を美しいと感じたことを思い出します。

ハスはインド原産と言われていて日本へは古代に渡来しています。実が蜂の巣に似ていることから、万葉の頃は「ハチス」と呼ばれていました。後にそれが略されて「ハス」になったと言われています。ハスは昔からインドやエジプトで生命の創造や生産の象徴とされ、インドの手描き更紗に見られる「生命の樹」文様に咲く様々な花は、どれもがハスの花と言われています。

仏教ではハスは極楽浄土に咲く花とされ、その清純で美しい葉や花が泥の中から伸び立つ姿を清浄さのシンボルとしています。日本でも仏教伝来以降は仏花として尊ばれるようになりますが、渡来期に当たる万葉の時代には、まだその葉や花の美しさが純粋に愛でられていたようです。

上記の歌を含め、万葉集にはハスの歌が四首ありますが、花や葉にたまった露などが美しい女性のイメージとして詠われています。

江戸時代には「蓮見」といって、早朝花が咲くところを観賞したそうです。開花の時「ポン」と音がすると言われましたが・・はたして本当でしょうか?

 

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