やまぢさ(イワタバコ)

愛し(かなし)
愛し(かなし)
イワタバコ
イワタバコ

万葉表記:山治左、山萵苣

山萵苣の 白露しげみ うらぶるる 心も深く わが恋止まず
柿本人麿歌集(巻11-2469)


やまぢさが白露の重みでうなだれているように、わたしの心も深くうなだれています。あなたを恋する思いは止むことがないのですから

やまぢさはエゴノキとする説もありますが、静岡県と和歌山県の一部では現在もイワタバコをヤマヂサと呼んでおり、イワタバコ説が有力です。陰湿な岩壁に群生し、葉っぱの形がタバコの葉に似ているのでこの名がついています。
一株に葉っぱが1~2枚つき、6~8月、星形の紅紫色のかわいい花を咲かせます。一本の花茎にたくさんの花をつけるので、その重みでうなだれてしまう花もあり、生えている場所の印象も相まってか、ちょっと切ない思いを抱かされます。
奥武蔵の西吾野にある小さな道沿いの小川で群生に出会いました。岩壁などにあるので間近には見られず気をつけないと見落としてしまいます。花はまるで星のようで、空からやって来た植物のように思われます。
周りの岩にはいろいろな種類の苔類が繁茂していて、よく見るとこれがまたなんとも綺麗な色、模様を呈しています。自然は芸術家だと改めて実感させられます。

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