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月
月と梅の花
- 2012-04-01 (日)
- 作品づくりの備忘録として | 私の万葉集
今年も梅の季節が終わろうとしていますね。開花は遅れたものの、寒さが続いたおかげで例年よりも長く花が楽しめたように思います。
さて、梅は万葉集に122首登場するようですが、その中にうっとりしてしまうような素敵な歌があります。
ひさかたの 月夜を清み 梅の花 心開けて 我が思へる君
紀小鹿女郎(巻8-1661)(空遠くまで輝く月夜が清らかなので、夜開く梅の花のように心も晴れ晴れと、私がお慕いするあなたよ)
澄み渡った夜の空気に漂う梅の香。清らかな月光にそっと照らされて開いた梅の花から届くものです。そんな梅の花のように自分の心も清らかに開かれて、あなたをお慕いしています。こんなことを言われた男性は嬉しいでしょうね…。
この歌のように、素直な作者の心がダイレクトに伝わってくるところに万葉集の面白さ、魅力を感じます。
この歌は万葉研究の第一人者で国文学者の中西進先生も、万葉集の好きな歌十首に数えられたものです。
以前、落花する梅を題材に「梅菜幻想」というきものをつくりましたが、今度はこの歌をモチーフに夜の梅を表現してみたいと考えています。
※写真は梅の夜景と月、それぞれ別の写真をもとにつくった合成写真です。今年は残念ながら満月下で梅の花を見ることができませんでした。次の満月は4/7です。
十三夜
- 2011-10-09 (日)
- 日常の言の葉
今日は十三夜です。しかしながら、東京多摩地区は夜9時過ぎから雨。
宵の口、6時30分ごろ撮った写真をお見せします。
陰暦の毎月の十三日の夜のことを十三夜(じゅうさんや)といいます。
とくに9月13日(陰暦)をさして十三夜と呼ばれていて、8月15日(陰暦)の十五夜と並んでお月様が美しいと重んじられています。中秋の名月の後なので「後(のち)の月」とも呼ばれ、縁起がよい月なのだそうです。
十五夜に月見をするだけでは「片見月」。なので、十三夜にも月見をするものとされているようですが・・・くっきりとお月見できなかったのが残念です。
中秋の名月
- 2011-09-12 (月)
- お知らせ
今日は旧暦8月15日、「中秋の名月」です。
日本では四季折々の自然の美しさや風流を「雪月風花」、「花鳥風月」などと表現しましたが、そんなお月様の中でも中秋の十五夜はひときわ美しいとされ、お月見には最適とされています。
また、「中秋の名月」を祝う習慣は、その年の収穫を月に感謝し、満月に豊作を祈願する意味もありました。団子のお供えはそのためのものだったんですね。こんな綺麗な名月が見られるなんて、今年はラッキーなのかもしれませんよ。
万葉集に詠まれた月の歌はたくさんありますが、ちょっとかわいい男心を詠んだ歌を一つ紹介しましょう。
あしひきの 山より出づる 月待つと 人には言ひて 妹待つ我を
作者不詳(巻12-3002)
「山から出てくる月を待っているのさ」と 人には言っておいて、実はあなたを待っている私だ。
なんだかわかるな~。
さて、この季節にぴったりのとりよろふの帯です。
満月とその光に輝く尾花(ススキ)の波。
月は匹田で描き、尾花には刺繍が施されていますよ。
中秋から10月の中旬、十三夜頃までは帯にお月様を見せるのもお洒落だと思います。
月の歌
「月の水」のことを書いていて、あることに気づいた。
自分の好きな歌になぜかよく月が登場することを。
調べてみると、なんと集中159首に月が登場するようです。これは萩の142首をも上まわる数。万葉人が生活において月との関わりが大きかったことの裏づけとなりますね。
さて、今現在わたしが知っている月の歌の中からベスト5をあげてみました。
①天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ
柿本人麻呂歌集(巻7-1068)
(夜空に広がる天の海に雲の波が立ち、月の舟が星々の林に漕ぎ隠れていくのが見えるよ)
②東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
柿本人麻呂(巻1-0048)
(東の野に朝日が差し始めている。ふり返ると西の空に低く下弦の月が見える)
③久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君
紀小鹿女郎(巻8-1661)
(空遠くまで輝く月夜が清らかなので、夜開く梅の花のように心も晴れて、私がお慕いするあなたよ)
④海神の豊旗雲に入日さし今夜の月夜さやけくありこそ
中大兄(巻1-0015)
(海の上、豊かになびく雲の間から落陽がさしこみ、今夜の月はくっきり美しくあってほしい)
⑤熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
額田王(巻1-0008)
(熟田津に船出をしようと月を待っていると潮も満ちてきた。さあ漕ぎ出そう)
「さやけ」や「清み」などの表現が印象的です。
まだまだ素敵な月の歌がありそうです。知っていたらどうぞお知らせください。
月の水
天橋も 長くもがも 高山も 高くもがも 月読の 持てるをち水 い取り来て 君に奉りて をちえてしかも
作者未詳(巻13-3245)
天に架かる橋も長くあってほしい。高い山ももっと高くあってほしい。月の神が持っている若返りの水を取ってきてあなたにさしあげて若返らせたい。
万葉の時代、人々はどのように月を見ていたのか。
月には清らかな泉が湧き出ていて「月読」という男の神が月齢を数えながらそれを守っている。その水は「変若水(をちみず)」といい、老いを若さに変え、死を再生させる力を持っている。
自然は1年という周期で死と再生を繰り返します。そして、かつて暦の基準であった月もまた、満ちては欠け、欠けては満ちと再生を繰り返す。
万葉人がそこに神秘性を感じ、「変若水」を想像し、それを求めようとしたことを、日常生活の中で月との関係が希薄になった私たち現代人が理解するのは難しいのかもしれません。
水に関する様々な危機
水の惑星-地球。その水も清らかであってほしい。
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