「月の水」のことを書いていて、あることに気づいた。
自分の好きな歌になぜかよく月が登場することを。
調べてみると、なんと集中159首に月が登場するようです。これは萩の142首をも上まわる数。万葉人が生活において月との関わりが大きかったことの裏づけとなりますね。
さて、今現在わたしが知っている月の歌の中からベスト5をあげてみました。
①天の海に雲の波立ち月の舟星の林に漕ぎ隠る見ゆ
柿本人麻呂歌集(巻7-1068)
(夜空に広がる天の海に雲の波が立ち、月の舟が星々の林に漕ぎ隠れていくのが見えるよ)
②東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ
柿本人麻呂(巻1-0048)
(東の野に朝日が差し始めている。ふり返ると西の空に低く下弦の月が見える)
③久方の月夜を清み梅の花心開けて我が思へる君
紀小鹿女郎(巻8-1661)
(空遠くまで輝く月夜が清らかなので、夜開く梅の花のように心も晴れて、私がお慕いするあなたよ)
④海神の豊旗雲に入日さし今夜の月夜さやけくありこそ
中大兄(巻1-0015)
(海の上、豊かになびく雲の間から落陽がさしこみ、今夜の月はくっきり美しくあってほしい)
⑤熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
額田王(巻1-0008)
(熟田津に船出をしようと月を待っていると潮も満ちてきた。さあ漕ぎ出そう)
「さやけ」や「清み」などの表現が印象的です。
まだまだ素敵な月の歌がありそうです。知っていたらどうぞお知らせください。
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